持ち上げ動作について
皆様こんにちは、TheMissionコンディショニングプラザです!
端午の節句も過ぎて暦の上では夏ですが、いかがお過ごしでしょうか。
連休中に引っ越し作業で荷物を運んでいる方をよくみかけました。
そこで本日は持ち上げ動作について、運動学的に少し詳しくお話をしていきたいと思います。
目次
- ○ 持ち上げ動作
- ・腰部(腰椎)への影響
- ・前屈み姿勢の影響
- ・前屈み姿勢の影響②
- ・持ち上げ方による負荷の違い
- ・腰への負担の少ない持ち上げ動作:しゃがみ込み持ち上げ動作①
- ・腰への負担の少ない持ち上げ動作:しゃがみ込み持ち上げ動作②
- ・最後に。
持ち上げ動作
荷物の持ち上げ動作は、
力仕事の現場だけではなく日常生活で頻繁に行われています。
そして、重い荷物を持ち上げる時に
その動作で腰痛を発生させることが頻繁にあります。
それは持ち上げ動作が腰部だけでなく、
全身の筋活動(特に背筋)への負担を要する動作だからです。
どのような負担をかけるのかを
運動学的にみていきたいと思います。
腰部(腰椎)への影響
背骨の腰の部分を腰椎といいます。
5つの骨(椎骨)が椎間板というクッションをはさみ
前弯(前の方に凸型に曲がっている)に連なっています。
重たい荷物を持ち上げるときは、
腰椎、特に椎間板に大きなストレスがかかります。
椎骨や椎間板の2つの面には
垂直に押しつける力の圧縮ストレス、
2つの面を反対に引き離すように働く伸張ストレス、
面に対して平行にズレさせるように働くせん断ストレスといった
メカニカルストレスがかかります。
この圧縮ストレスやせん断ストレスは、
荷重量や腰部の動作・姿勢によっても変わります。
前屈み姿勢の影響
腰椎は生理的に前弯しています。
生理的前弯は腰椎に前方せん断ストレスを与え、
椎骨を前へずらす作用があります。
そして、抵抗する圧縮ストレスがせん断ストレスに対して働きます。
前屈みや腰椎の伸展により腰椎の前弯が増すと、
椎体へのせん断ストレスも大きくなります。
また、荷物を持つ上げる際に、
物体の重量により重心が前方移動することも
前方へのせん断ストレスを増大させる要因になります。
物を持ち上げるほとんどの場合は、
前屈みの姿勢を取ります。
前に屈まないと荷物の持ち上げが出来ない時は、
腰部への負担がよりかかります。
前屈み姿勢の影響②
直立位で荷物を持っている時は、
前屈みで荷物を持っている時と比べると
腰への負荷は低くなります。
真っすぐに立っている時は、
下半身で上半身と荷物の重みを支えているからです。
逆に前屈みになった時は、
腰で上半身の重みを支えないといけません。
この時に腰にかかる負担は荷物を持っていなくても
約200㎏と言われています。
持ち上げ方による負荷の違い
荷物を持ち上げる時の腰にかかる負担は、
腰が曲がっているか伸びているか(腰椎の屈曲位か伸展位)、
膝が曲がっているか伸びているか
によっても変わってきます。
先程お話したとおり、
真っすぐに立っている時(腰椎と膝関節ともに伸展位)は、
下半身で上半身と荷物の重みを支えているため、
腰部にかかる負担は最も小さいです。
次に腰部への負担が少ない持ち上げ動作の姿勢は
腰椎は伸展し、膝関節が屈曲している姿勢です。
膝が伸展していても、腰椎が屈曲してると
腰部への負担が大きいです。
最も腰部への負担がかかる持ち上げ動作の姿勢は
膝が屈曲し、腰椎も屈曲している姿勢です。
腰椎を痛める可能性がもっともある持ち上げ方になります。
。
腰への負担の少ない持ち上げ動作:しゃがみ込み持ち上げ動作①
前屈みで荷物を持ち上げる動作は、
腰部への負荷が大きい動作です。
床に置いてある荷物を持ち運ぶときに前屈みであると、
腰椎から荷物の重心線までの距離が長いので、
腰部と背筋に大きな伸筋筋力が必要となります。
更には、椎間板に大きな圧縮ストレスとせん断ストレスが
かかります。
比べて、しゃがみ込んでから荷物を持ち上げる動作は、
腰部への負荷が小さい動作になります。
それは前屈み持ち上げ動作と比較すると、
荷物を両膝の間に置くことで
腰椎から荷物の重心線までの距離が短く、
背筋を伸展させる力が小さくすることができるからです。
腰への負担の少ない持ち上げ動作:しゃがみ込み持ち上げ動作②
前屈みで荷物を持ち上げる動作は、
膝の屈曲をほとんどせずに
股関節と腰椎の屈曲動作と伸展動作で
持ち上げ動作を行います。
しゃがみ込みで荷物を持ち上げる動作は、
膝関節と股関節を屈曲させ、
股関節伸筋群と大腿四頭筋の筋力を使って
関節を伸展させることで持ち上げ動作を行います。
この大腿四頭筋が働くということは、
膝の関節に大きな圧縮ストレスをかけます。
ですので、腰には負担のかからない持ち上げ動作になりますが、
膝への負担は大きい持ち上げ動作になります。
また前屈み動作はしゃがみ込み動作よりも仕事量が少なく、
代謝面でも2~3割効率が良いといった面で優れています。
最後に。
腰に負担をかけずにしゃがみ込みから荷物を持ち上げる為には、
股関節や膝関節などの下半身をしっかりと動かせるようになる必要があります。
また適度な背筋の筋力も必要です。
腰痛の予防のためには
筋力向上を目的としたトレーニングをおすすめします。
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