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目次

• ○  ベッドからの起き上がりの動作
• ・ベッドからの起き上がりのパターン
• ・ベッドからの起き上がり動作の筋活動①
• ・ベッドからの起き上がり動作の筋活動②
• ・自立した日常生活活動（Activity of Daily Living;ADL）を営むために

ベッドからの起き上がりの動作

ベッドからの起き上がり動作は，日常生活を営むためには必要な動作の一つです。

運動学的には、背臥位（仰向け）から
端座位（ベッドの端に足を下ろして座っている状態）へ
移行する動きのことを表します。

ベッドからの起き上がりのパターン

背臥位から開始し端座位へ移行する起き上がりの動きにも
いくつかのパターンがあります。

１）両肘をついて体幹部の屈曲により上半身を起こす。同時に両脚を挙上（浮かせる）。
　→殿部を軸に向きを変えて、両脚をベッドから下ろす（下垂）。
　→端坐位

2)　起き上がる側の片肘を立てる。同時に体幹を回旋させて側臥位になる。
　→両脚をベッドから下垂させる。
　→端坐位

この2つが代表的な動作パターンです。

ベッドからの起き上がり動作の筋活動①

1つ目のパターンの起き上がり動作（体幹部の屈曲により上半身を起こして
長座位を経由して端坐位）について
筋活動を踏まえてもう少し詳しくみていきたいと思います。

最初に、背臥位から頭を持ち上げることで離床し始めます。

両肩関節の伸展動作と両肘関節の屈曲により肘で上半身を支え、
肩甲骨がベッド面から離れ、体幹部の軽度屈曲が起こります。

この時に、腹直筋と内外腹斜筋（上記イラスト）の筋活動が行われますが、
実際には、体幹部が動かされる前から腹直筋と外複斜筋の活動がみられます。

それは、頭を浮かせるために体幹部の固定が必要となるからです。
体幹部の筋肉（腹筋）が固定筋として、
等尺性収縮（筋繊維の長さを変化させずに筋肉の出力を出す）を行なっているからなのです。

体幹部の屈曲角度が増すとともに、
腹直筋の筋活動と、遅れて内外腹斜筋の筋活動の最大値が観察されます。

その後、両股関節の屈曲により体幹部が更に前傾され長座位になります。

最後に、進行方向の股関節の外転と反対側の股関節の内転運動により、
両下肢を移動させながら身体を回旋し、端坐位になります。
この時の回旋動作は体幹部では行われず、
進行方向の肩関節の内旋動作によって行われています。

ベッドからの起き上がり動作の筋活動②

次に、2つ目のパターン（片肘を立てると同時に体幹を回旋させて側臥位→端坐位）の
筋活動についてみていきます。

最初の片肘を立てる動作は、肘（肘頭）でベッド面を押す動作に向かうために、
肩の関節を伸展と肘関節を屈曲が行われます。
肩関節を伸展させる広背筋、上腕三頭筋、三角筋後部の筋活動があります。

次に、上半身がベッド面から離床するので体幹部が軽度に屈曲し、
少しずつ回旋動作が行われます。
体幹部が動かされる前から腹直筋と外複斜筋の活動がみられ、
両下肢が浮く時に筋活動が最大になります。

また、体幹部が回旋される動作は、腹部の筋活動ではなく、
広背筋や三角筋後部の筋活動によって行われます。

そして両下肢を下垂させる動作は肘関節の伸展で行われ、
この際の上腕三頭筋の筋活動は最大値を示します。

自立した日常生活活動（Activity of Daily Living;ADL）を営むために

ベッドからの起き上がり動作が自分で行えなくなると、
自立した日常生活にかなりの制限が出てきます。

高齢になっても自立して日常生活活動（Activity of Daily Living;ADL）を
遂行していくうえで、自分でベッドから出られることはとても大事です。

ベッドからの起き上がり動作は、体幹部だけでなく、
肩関節や股関節など全身を使う動作です。

しかし、高齢になるにつれて、股関節、膝関節、足関節の関節可動域の減少や
筋力が低下、足が挙上しずらくなるなどの運動機能が低下により、
起き上がり動作が難しくなってきます。

もし最近、ベッドからの起き上がりがしんどくなってきたと感じていらっしゃるならば、
運動機能が低下しているかもしれません。

全身の筋力向上、関節可動域向上やバランス能力の向上のトレーニングにより、
運動機能の低下は防ぐだけでなく、これらの能力向上にもなります。

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