椅子からの立ち上がり動作
皆様こんにちは、TheMissionコンディショニングプラザです!
少しずつ温かくなってきていますが、いかがお過ごしでしょうか。。
先日のブログではまたぎ動作と高齢者の歩行の特徴について、運動学的少し詳しくお話をいたしました。
本日は、椅子からの立ち上がりの動作と高齢者の立ち上がりの特徴についてのお話していきたいと思います。
目次
- ○ 体力測定と椅子からの立ち上がり動作
- ・立ち上がり動作:運動学にみると
- ・重心移動と関節運動
- ・椅子からの立ち上がり運動と筋活動
- ・高齢者の椅子からの立ち上がり動作の仕方
- ・いつまでも元気にすごすために。
体力測定と椅子からの立ち上がり動作
椅子に座り、立ち上がるという動作は、
日常で頻繁に行われる身近な動作です
この馴染みのある動作で下半身の筋力を測ることができます。
30秒椅子立ち上がりテストという測定です。
座っている状態から素早く立ち上がるという動作を
30秒間で何回できるかと測定します。
20歳から29歳の男性ですと、22回以下だと劣っており、
38回以上だと優れているという評価になります。
立ち上がりの動作は、なにげなく日常で行われている動作ですが、
前方への重心移動から、上方への重心移動があり、
下半身や上体などの複数の関節・筋肉の協働や協調が
必要とされる以外にも複雑な動作になります。
そこで本日は、椅子からの立ち上がりの動作について
運動学的に少し詳しくお話していきたいと思います。
立ち上がり動作:運動学にみると
以前このブログで歩行動作について、歩行周期という行動パターンを使ってお話しをしました。
立ち上がり運動にも、行動パターンを観察する上での周期(相)があります。
立ち上がりの運動分析は、研究者により2相、3相や4相と報告されていますが、
ここでは以下の4つに分類してお話していきます。
第1相:股関節が上の写真のように折り曲げて(屈曲)、
首と上体(体幹部)が前へ移動して、
お尻(殿部)が椅子から離れる(離床)する瞬間までをいいます。
第2相:殿部が椅子から離れてから足首が最大に曲げる(足関節最大背屈)瞬間までを言います。
この相で重心が前・上方へ移動します。
第3相:足関節最大背屈の状態から直立(股関節と膝関節の伸展)の瞬間までをいいます。
この相で、重心は前下方から上方へ移動します。
第4相:直立状態(股関節伸展)終了から
バランスが取れる状態が取れる瞬間までをいいます。
重心移動と関節運動
立ち上がり動作での下半身の動作は、重心移動と大きく関わっています。
体幹部が前傾と股関節屈曲(最大角度100°)が起こり、
膝関節伸展運動と足関節背屈運動があり、殿部が離床し始めます。
この一連の動作により、身体重心が前方へ移動します。
一旦、殿部が離床すると、体幹部・股関節と膝関節が一気に伸展します。
この動作の股関節と膝関節の伸展運動により、身体重心が上方へ移動しています。
椅子からの立ち上がり運動と筋活動
立ち上がり動作は、体幹部が前傾することで開始します。
この時に、大腿直筋や縫工筋(腿の前側の筋肉)の筋活動により、
体幹部が前傾姿勢をとるように促します。
逆に、脊柱起立筋(背骨に沿って走っている背筋)が前傾姿勢に対して
制御するようにエキセントリックに働いています。
エキセントリックとは、主動筋の働き(コンセントリック)対して
反対の動きをする(制御)筋肉の活動です。
主動筋と一緒に働き、同時に働くことで、使っている関節を固定したり、
安定させたりすることができます。
大殿筋も動作開始時に股関節の屈曲運動を制御して、
殿部が離床するまでエキセントリックに働いています。
大殿筋は殿部離床直後から、今度は主動筋として股関節伸展を行ないます。
大腿四頭筋も大殿筋のように殿部が離床するまでは、
エキセントリックに働き膝関節と股関節を安定させています。
そして、殿部離床直後から主動筋として膝関節伸展を行ないます。
前脛骨筋(すねの前側の筋肉)は、動作を開始した時から殿部が離床するまで、
足関節を背屈させて身体重心の前への移動に大きく関わっています。
腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)や長腓骨筋(すねの外側に筋肉)は、
殿部が離床する直前から立ち上がり動作が終了するまで、
身体重心が上方への移動を安定させるために足関節を底屈させています。
高齢者の椅子からの立ち上がり動作の仕方
椅子から立ち上がる動作は、高齢期になると以下のように変化していきます。
・体幹部の前傾姿勢が大きい
・立ち上がりの動作速度が遅い。特に、殿部離床から動作完了までの時間が長い。
・足関節の安定性が殿部離床後では不足する
これらの原因は、姿勢が悪くなる、関節の曲げ伸ばしが不十分、
必要な筋肉が弱くなっている、バランス能力の低下など、
加齢による身体機能低下によるものだといえます。
もし高齢期で足腰が弱ってくると、
椅子から立ち上がる動作は重労働で転倒のリスクがある行動になりえます。
高齢になっても自立して日常生活活動(Activity of Daily Living;ADL)を送るためには、
つまずき・転倒は防げるように気を付けることは必要です。
ですので、椅子からの立ち上がり動作が
スムーズに出来ることはとても大事です。
いつまでも元気にすごすために。
もし最近、椅子からの立ち上がりがしんどくなってきたと感じていらっしゃるならば、
運動機能が低下しているかもしれません。
下半身の筋力向上、関節可動域向上やバランス能力の向上のトレーニングにより、
運動機能の低下は防ぐだけでなく、これらの能力向上にもなります。
The Missionコンディショニングプラザでは、
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